再生④

さて、いよいよ大屋根の工事が始まりました。

今日日曜は雨の予報。
前日までには防水シートで覆う事ができたらと
必死の作業が続きました。

先ずは既存の屋根材カヤ葺き屋根を覆うトタン剥し。

074


 垂木を新しい材へと交換。

 091034


垂木を打ち終え、防水シートを張る作業へと。

040


東・北・西側屋根、三方を防水シートで覆う事が叶いました。

002

 

 

 棟付近には薪ストーブの煙突出現。

007


屋根工事と同時に隅木の工程も進んでいます。

屋根の四隅を決める非常に大事な箇所。
既存の茅葺き屋根の隅は右回りにねじれが生じており、
このねじれを可能な限り修正しながらの隅木作業。

修正や補強を施しながら進む古民家再生工事です。

007

 


 

カテゴリー: 建築 | コメントする

再生③

【小さな庇と大きな庇】

「風は欲しいけど、水はいらない」と施主。
この言葉通り、通風を良くし雨水等の水気は出来るだけ遠ざけなければいけない。
湿気は住宅の大敵であり、シロアリ、カビ、木材腐食など湿気を要因とした様々な問題が生じてきます。
健康的な住宅を保つことが住宅の寿命に大きく関わってくるのです。

海が近いこの辺りでは暴風雨ともなると東から北からと容赦ない激しい風雨が打ちつけてきます。
もちろんこの縁の下にもネットの網目を通り抜け、雨粒が大量に入り込む事となります。
この小さな庇は縁の下に入り込む雨水対策。
家の裏手である北側一面約21mも続く小さな小さな庇。
外壁と同様の杉板材でこしらえ等間隔に配されている持ち送りはシンプルながら、ちょっとしたデザイン的役割も課している様に思える。

 

109

こちらは大きな庇。屋根です。
軒の出はたっぷり1.8m。
雨から家を守るため、必要のない水気は遠くへ遠くへと、、、

122

そして、大屋根には足場が架かりました。
屋根材を剥し、新しい屋根材と交換します。
東を海、西に山。
その中間にある見晴らしの良い平坦なこの地に巨大な大屋根のピラミッドを描く構想です。

梅雨時期が迫る中、お天道様にも協力をしてもらって晴れ間の続く中で仕上げたいものです。
017

 

 

 

カテゴリー: 建築 | コメントする

製材その後、、、

製材を終えた材が到着しました。

ここは自宅近く、神社の駐車場。
毎度の事、拝借させて頂いております。

088

さて、製材を終えたからと云って、このままにしてはおけません。
すでに材木の乾燥が始まっています。
急いで 皮を剥ぎ、背割れを入れ、ひび割れ防止塗料を塗る作業に入ります。

092
143

5日間かけ、ようやく全ての作業を終えました。

144

カテゴリー: 建築 | コメントする

原木製材

悩みに、悩みに、悩み、、、
じっくりと考え、「これだ!」と云うものを形にしたい。

菩提寺の山門工事。
今回のテーマ『1000年の建築』
大工の私にとって永遠のテーマでもあります。

演習林から切り出されてきたというヒノキの原木。
千葉県産にこだわり、山門にと買い付けてきた材です。
今日はこの原木の製材に立ち会いです。

068

094067115118

荒々しく分厚い表皮からは想像もつかない程の美しい木肌です。

さて、大人の腕さえ周らない程の太さの原木が製材され、尺2寸角(360㎜辺)に。
使える部分となると、僅かとなります。
長さは8m。
一般的な山門より高さを設けるため、柱の太さが山門の全体的なバランスを大きく左右する。
簡単に云ってしまえば、格好いいか、否かという事になります。

今回の山門(四脚門)には6本の柱が必要となり8本中6本は満足のいく材で先ずは一安心。

脚は丸柱か、それとも角柱か、、、ここも悩んだが、
『角』に決めた。

瞼の裏にある思い描く山門像。
そろそろ紙に書き写さなくてはいけません。

070

カテゴリー: 出来事 | コメントする

『透明感のある家』と『鯉のぼり』

当たり前の事ですが、自分たちが作ったものは何年経っても気になるものです。
設計コンセプト『透明感のある家』
開口部を大きく設け建物内どこからでも庭木の緑を眺める事の出来る家。
HPには掲載しておりませんが、9年程前に施工させて頂いた住宅。

階段を上がりウッドデッキを進み正面木戸が玄関。
外壁は左官モルタルリシン掻き落とし仕上げと板張りで仕上げ。
ご覧の様に外壁内に戸袋を設けるというシンプルな納まり。

屋根はガルバ二ウム鋼板、私好みに軒の出もしっかりと深くとっています。
そして、初の試み、、、
夏場高温となる屋根材の輻射熱対策を施しています。
塩ビパイプ管に無数の穴を開けたものを屋根棟沿いに設置し、地下水を利用し高温になった屋根材を冷却しようという試みです。


葉が生い茂る時期には庭木の緑が建物の傍まで迫り、
窓からは避暑地的さながらの景観を味わう事ができます。
木々の葉が夏場の強い陽射しを和らげる日除けの役目も引き受けてくれています。

外観は平屋造りですが、建物中央に階段を設け施主の要望であった6帖ほどの展望スペースを確保。
下の写真の板張り部分上部が展望スペース。

そして『鯉竿』
待望の長男が誕生し、鯉竿を頼まれる事となりました。
また明日から暫く雨予報、晴れ間を惜しんでの作業。
この鯉竿は奥さんの実家の山に入り切り出してきたもの。
鯉竿に相応しい太さ、長さ、そして一番重要な極力曲がりの少ないものを選んできました。
実家の山から鯉竿までとは、、、そうそうありません。
実家のご先祖様もさぞかし喜んでおられるのではないでしょうか。

043
048

 

 

 

カテゴリー: 出来事 | コメントする

都へ

これから始まります工事の打ち合わせで東京へ。

デザイン性を競い合っているファッションビル。
目をひきます。
321

打ち合わせを終え、現場監督と2人、
『根津美術館』を巡ってきました。
055

こちらは美術館だけではなく広大な庭園も見どころとなっており、
庭園内には茶室が設けられていました。
私の大好きな分野です。098
079080

茶室の客待ち。
思い切った軒の低さ、たっぷりと出た軒。
背もたれ部分の板は杉の赤身一木で作られている。
一見、質素でありながら、品の良い佇まい。

大工になり
茶室に心ひかれ
いつしか自分の手で作れたなら、、、
と憧れ続けています。

22年前の事。
先ずは「茶の心、作法を学ばなくては」と思い、稽古に通っていた時期もありました。
忘れもしません、毎週水曜日。

時間ギリギリまで仕事に追われ、汚れた作業着で行く事もしばしば、
仕事が時間通りに終わる事も少なくありません。
その日はあらかじめ打ち合わせが入っていたので遅れる連絡を入れたところ
「お待ちしています」と、先生の返事。
しかしながら、少し遅れるつもりが、2時間の大遅刻。
そんな中でも 玄関を一歩入れば「鶴岡さ~ん、お上りになって~」と奥から朗らかな声。
嫌な顔一つ見せず、いつもの通り着物を着て生菓子を用意して待ってくれていました。
2時間も遅れてきたことに平謝りをすると「鶴岡さ~ん、これも茶の心ですよ」と云った
先生の言葉にいたく感動した事、忘れられません。

先生の持病であるリュウマチが進行し教室を続ける事が難しくなり、
私も5年間続けてきた稽古をやめる事となりました。

その際、茶道具箱に添えられていた先生の句。

038

養護学校の教員を退職後、自宅で教室を開かれた先生。
習い始めの頃、一週間経てば作法の手順も忘れてしまう始末、
出来の悪い生徒を教えるように根気よくご指導下さったのを思い出します。
現在では施設でお過ごしの事。
念願の茶室を作る事が出来たなら、いの一番に招待したい恩師です。

 

 

 

カテゴリー: 出来事 | コメントする

再生②

 

この家屋が100年もの間、幾度の大地震に遭いながら耐え持ちこたえる事ができたのか。
解体が進むと、その理由も徐々に明らかになってくる。

感心したのは貫きの厚み。
全て通し柱の1/3を貫の厚みとして確保しており、構造材としての貫の重要性を改めて強く感じる事となった。

032

そして上を見上げれば地の松の梁組がこの家を守っている。
一昔前は地元の松を『上総松(かずさまつ)』と呼び、これらがブランド化され喜ばれていた時代があった。
しかしながら50年も経てば害虫が入り込み長期的にもつ材ではない。

それなのになぜ。。。
それはこの家の歴史的な背景にあった。
囲炉裏の煙で燻されたことによりこれらの松材の梁組は害虫から守られてきたのだ。

018

工事が始まった事で時おり近所の人たちが古民家再生に興味をもち訪ねて来る。
かつて土間に据えられた囲炉裏では大釜に湯を沸かし蚕の繭を入れ、生糸を取り出す
作業をしていたそうだ。
この家の歩んできた歴史を知るきっかけとなっている。

さて工事進歩状況ですが、
要所要所、新しい材へ土台の取り替えを行いながら、基礎工事が進んでいます。
基礎幅は30㎝。
信頼のおける基礎屋の親方が頑張ってくれています。
039

042

 

 

 

カテゴリー: 建築 | コメントする

再生

周囲を田園に囲まれた場所。
この家を懐に抱くかのように何十年もの月日をかけ成長してきた屋敷木の伐採を終えると この大屋根が姿を現し、限りなく開けたこの地のシンボルとなり存在感を放っている。

築年数は定かではないが、100年は経過している。
古民家再生、昨年からの計画がいよいよ動き始めました。

057

土間では囲炉裏を焚き、屋根裏では蚕を飼っていたかつての名残がうかがえる。

068
先ずは、傷んでいる土台材を新しい材へと替えると同時に補強に取り掛かります。
有難い事にこの家の敷地内には作業場にもなる離れがあり、この場を借り土台材の 墨付け・加工作業も進行している。

この家を求めた施主の想いと寄り添えるよう、古き良き味わいを大切に再生したいと考えている。

043

 

 

 

 

カテゴリー: 建築 | コメントする

宮ノ台の家


寒い日が続いています。
気になるお天気、、、今週は心配いらないかと思いきや、
木・金曜あたりにまたもや傘マークが、、、
晴れ間が続きませんね。
天気予報を気にしながら仕事の工程を組んでいきます。

さて、現場報告です。
こちらは自宅からすぐの現場。

屋根工事及び外部木工事を粗方終え、現況は内部壁下地工事に取り掛かっています。

室内は下がり壁をなくし、天井高と軒天高とを同じ高さにとり、
内から外へ、外から内へと繋がりをもたせています。

私が見たかった水平の世界。

019

天井高と軒天高を同じくとるには、
この様に軒天にシャッターの戸袋を収める事となります。

512

014

そして外観、、、

シャッターの戸袋が軒天収納になっているため
スッキリとしたスマートな外観になっていると思います。

屋根は私の意図する『番傘』のイメージ、、、ですが、
どうでしょうか?

また、俄かに別荘地を思わせるような佇まいに
施主も完成を楽しみにしてくれている様子です。

033

カテゴリー: 建築 | コメントする

森の管理棟

今年も残す所1ヶ月となりました。
先月と同様、今月もあいにくの雨降りスタートです。
天気予報を見ては頭をかかえ、急ぎの現場が多く気ばかりが焦り出します。

森の管理棟、事務所新築工事となります。
休日晴れ間を惜しんでの作業となり、昨日は基礎屋の親方の助っ人です。
ぬかるんだ足元に気を付けながら山の傾斜を上がったり下ったり、、、
日頃の運動不足がたたります。

026

 

カテゴリー: 建築 | コメントする